いやな展示会場

コンビニの雑誌売り場はなぜ
外側に向けてあるのでしょうか?

理由は一つではないでしょうが、
少なくともその配置は
「入りやすさ」に一役買っています。

というのも、
店の外から立ち読みの人の姿が
よく見えますので、
店員よりお客の数が多いことが
一目でわかるからです。

この数のバランスが逆転すると、
たとえばあなた一人に対して
店員が10人だったらどうでしょう?

目的のものだけ手に入れて
さっさと店を出たくなりませんか?

10人の視線の中で
雑誌を立ち読みできますか?

実際には経費がかさむので
そんな状況はありえませんけど、
お客が長居する雑誌売り場が
外から見えることによって、
居心地の悪い店ではないと
一目でわかるわけです。

ところで、
コンビにではあり得ない
数の逆転現象ですが、
イベント会場などでは
ないとは言い切れないのです。

ある日の調査では、
展示会場のお客様一人に対して
販売員が13人いました。

状況が予想できるでしょうか?

お客様は販売員と
眼を合わせないように、
いたたまれない面持ちで
会場を通過していたそうです。

なぜこんなことが
起こってしまったのでしょう?

ピーク時の来場者数にあわせて、
お客様を取りこぼすことがないように
充分すぎる人員を配置したそうで、
これは得よりも損が大きく見えてしまう
人間の心理から説明できる行動です。

つまり、
「万が一にもお客を取りこぼしたくない!」
という恐れから来ています。

結果として絶対に長居したくない、
つまり最低の展示会場となったわけです。

冷静に考えれば判りそうですが、
物事を観る眼が凝り固まってしまうと
こんな事も起こるというお話でした。