ドグマにご用心!

「ブランコ飛び」できますか?

公園のブランコを漕いで
適当なタイミングで
柵を飛び越えるあの遊びです。

小学校で流行ったのは、
度胸試しだったのでしょう。

熟練者になると、
一往復も漕ぐことなく、
一番奥で飛び乗ったいきおいで
そのまま飛べるのですが、
初心者のうちは
何往復も漕いで勢いをつけ、
「ここぞ!」のタイミングで
手を離して飛びこします。

実際はそれほど
勢いが必要なわけではなく、
要は度胸が決まるまで
何往復もかかるわけです(^^;

飛ぶときは
ブランコを蹴る力は使えません。

立っていれば少しは使えますが、
かなりバランスを崩してしまいます。

だから慣性の法則を利用して、
前に向かっているブランコから
自分だけ離脱するのです。

そのための準備段階として、
ブランコが最後部に来たところで
まずは片手を離します。

そして前に伸ばした手に
誘導されるように
気持ちを離脱させて行って、
最後にピョコンと
お尻を持ち上げます。

この微妙な動作を
片手運転の不安定な状態で行うのは、
まさしく度胸試しというか、
男と認めてもらう『儀式』でした。

私は子供の頃から
準備の好い性格だったので、
そろそろ自分の番がせまった
ある日曜日の昼下がり、

別な学校に通う
運動神経の固まりみたいな
幼なじみを連れだして
ブランコ飛びの極意を
伝授してもらうことにしました。

しかし不幸なことに
彼の通う学校では
ブランコ飛びの伝統がありません。

そこでルールを説明したところ、、、

「これでいいの?」

ひとこと残して彼は飛び立ち、
初トライアルで見事に決めました(^^v

その瞬間、
私は『ドグマ』というものの存在と
その怖ろしさを、思い知りました(ーー;

「ブランコ飛びかくあるべし!」

とばかりに
私たちを知らぬ間に縛り、
他のやり方など
神をも恐れぬ仕業とばかりに
片手飛びを崇めていましたが、

そう、彼は不安定な
片手飛びなどしませんでした。

最後まで両手で鎖をつかみ、
ここぞのタイミングで
両手いっぺんに離したのです。

その姿はまるで
一粒300メートル走るという
グリコのオジサンの如くでした。

翌週、私がクラスで一目置かれ、
その後の人生で
ドグマを忌み嫌うようになったのは
言うまでもありません(^^v