あの日赤ちゃんに教わったこと

ひとりの平凡なサラリーマンに
ある日降りかかった事件です。

いつもの時間の通勤電車が
途中何度か、イレギュラーな停止を
繰り返し始めました。
なんでも、人身事故の影響で
全線で遅れが発生してます。

まぁ、遅延証明さえ出れば
特に遅刻できない会議もないですし
緊急でトイレの必要もないので、
(こちらの方が重大です!)
お気楽に読書を続けていました
初めのうちは、、、

乗換え駅のホームで、
大方の到着時間を計算すると
ぎりぎりジャストで間に合いそうな
微妙な時間です。

この辺で色気が出てきました。

遅延証明さえ出れば
遅れること自体は問題ないけど、
できれば間に合った方が
面倒な事務的作業が要らない。

もっと贅沢を言うなら、
5分前に到着すれば
コンビニで買い物できる。

この辺で、貴重な読書時間は
アリ地獄の妄想タイムへと
元に戻れない変換を遂げました。

 

電車の到着が遅れたので
駅前からのバスは、ちょうど目の前で
発車したところです。
少しゲインした残り時間は
これでまた、かなり
ロスしてしまいました。

次のバスが出発したのは
またまたキリギリの微妙な時間。

3つ目の停留所で、
みるからに健康そうな若者がひとり
ゆっくりと乗り込んできます。

「さっさと乗れ、
だいたいなんで、ここから乗る?
駅前でいっしょに乗れよ!」

それまで順調だった信号運が、
この時をさかいにツキがなくなって
ことごとく信号待ちになりました。

「あいつさえ乗ってこなければ、
今ごろは最後の右折だろうに(ーー#」

最後からふたつ目の停留所で
乳母車に乳幼児をのせた若い女性が
のんびり乗り込んできます。

「もう少しでいいから、
速く歩いて着席してよ!」

そのとき乳母車の赤ん坊と
目が合った彼の脳裏に
ある考えが浮かんできました。

「5分前に着いたらコンビニ、
着かなければ素通り、
遅れたら電車遅延の報告、
以上!」

 

そうです、
起こり得ることを全て
悩んでみても無駄!

”こう来たらこうする!”

これを決めてしまえば、
あとは読書に戻れば好いのだと、
おまかせに徹した赤ちゃんの顔が
そう語ってくれたのでした。

おしまい

 

また明日の晩メールしますね。
おおばじょうしょう