敵の敵は味方だ!

あなたの会社や、所属する団体は
メンバー間の結びつきが強い方ですか?

ある程度の人数をこえると
なんとなく派閥のようなものが生まれて、
全体でまとまることは少ないですね。

私がまえに務めていた会社で、
事業所のメンバー全員が、あっという間に
強く結びついた事がありました。

結びつく前の状況は、
13人と少人数ではありますが
技術者の集まりなので、
3人の親分さんとその子分達でした。

あるとき、事業所の成績不振がたたって
自社の所長は解任されてしまい、
親会社から新所長がやって来ました。

新所長は確かに仕事のできる人でしたが、
そのときから新所長1人対その他12人という、
新しい構図が出来上がりました。

新所長は事業所の健全な運営が使命なので、
当然、不合理な部分を見つけては改善します。

それまで安泰だったメンバーは
恐れと不安から強く結びついたのです。
共通の敵が誕生しました。

メンバー間の結束は固くなりましたが
大の男が集まって所長の悪口を言っているのは
あまり気分のいいものではありませんでした。

私は少数派には同情するタチで
新所長と普通に世間話もしていましたので、
新所長の方も私に打ち解けてきました。

次になにが起きたと思いますか?

ご想像どおり私は「親会社にとりいって、
自分だけ保身をはかるスパイ」扱いを受けました。

新所長と私対、その他11人という、
更に強固な新しい結束ができあがりました。

私はバカらしくなって、転職しましたが、
共通の敵による結束はこれほど強いのです。

これを利用して、意中の相手と仲良くなる、
コミュニケーション技法があります。

「英語が苦手」「学歴がない」といった
ネガティブコンテンツを共有して、
仮想の敵によって結びつこうというものです。

教材のセールスレターなどで、
いかに自分がダメ人間かをならべているのも、
これを利用していると言えます。

適度に使えば効果的なのでしょうが、
「傷のなめ合い」みたいで気味悪いでしょう?

でも、効果的であることは確かです。