凡人から見たら、ただの嫌な奴

一輪の花は百輪の花よりも
はなやかさを思わせるのです
– 川端康成 –

”思わせる”というのがポイントですね。
実際のはなやかさ(数値化できませんけど)より
連想させる力の方が強烈ですから。
休日より、前日の方がウキウキするのと
同じ理屈かもしれません。

うろ覚えの話ですけど、
千利休さんの庭に、当時では珍しかった
朝顔が満開になっていると聴いて
秀吉殿下がお供を引き連れて見に来ると、
庭一面咲き誇ってるはずの朝顔は影も形もなく
茶室の床の間に一輪だけ飾ってあったとか。
派手好きの殿下に洒落が通じたかどうか
たぶん怒りを買っただけでしょう。

千利休さんは
お弟子さんたちが一生懸命掃き清めた後の庭に
枝をゆすって落ち葉を配置したりして、
相手の感受性によっては、相当憎まれたに違いなく
傑出した美意識の持ち主は
爪を隠していた方が安全でしょう