雑談も油断できません

催眠のお話です。

と言っても一般に想像される
“あなたは眠~くなって、、くる、、”
といった古典的なものでなく、
日常会話の中で
しかも雑談未満の会話で行う
“現代催眠”です。

ミルトン・エリクソンという
天才的な催眠療法家がいて
その流れを汲む人は大勢いますが
彼は別格でした。

本人は詳しい手法を
文章で残していないので、
お弟子さんたちの記憶と推測が
伝わっているのみです。

その中にこんな逸話があります。

 

問題児を持つ両親が
エリクソンに望みを託して
彼のもとを訪れました。

もちろん子供は嫌がりましたが
それでも渋々、エリクソンの部屋を
ノックしました。

その子が部屋に入ると、いきなり
エリクソンはこう言います。

「親に連れられて、嫌々来たんだろ」

「は、はい、、、、」

「帰っていいよ」

「???」

そして、本当にそれだけで
その日は帰ることになりましたが
ほどなくしてその子の非行は
なくなってしまいました。

 

何が起こったか解りましたか?
わかったら天才です!

“おそらく”の範囲で
推測されるのは、
抵抗の塊だった子供に
「嫌々来たんだろ」
と不意打ちをかけることで、
“解ってくれてる”という
心のスキマを作って、

そのスキマに
「帰っていいよ」
という言葉を放り込んだ。

この「帰っていいよ」が
心のなかでどんな作用をしたのか、
英語だからできたことなのか、
残念ながらそれについて
伝わっていません。

ただ、もしエリクソン氏が
すっかり種明かしをしてくれても
絶妙な間のとり方は
簡単には真似できないでしょう。

 

日本にも野口晴哉という
潜在意識教育の第一人者がいて
この方の逸話にも
似ているものがあるのですが、

そばで観ていた人によると
呼吸ができないほどの緊張を強いられ
その後に安堵感を感じたとのこと。

おそらくは武道における
間合いのようなものも
大きく関係してくるのでしょう。

 

私はこういう話が大好きで
つい人の迷惑も考えずに
一人で興奮して喋り過ぎるので、
今日はこの辺で
おしまいにします。