忘却の彼方より

食欲なくして食べることが健康に害あるごとく、
欲望を伴わぬ勉強は記憶をそこない、
記憶したことを保存しない
– ダ・ヴィンチ –

私はたいてい腹を空かせているので
食欲がないという事は滅多にないのですが、
欲望を伴わない勉強はたくさんしてきました。
無いというよりは、捻じれた欲望というか、
勉強している内容に興味はなく
試験に合格すること、ひいては好い職に就くことが
特に大人になってからの目的でした。

それでは学生の頃は純粋だったかと言えば、
いわゆる「ゾーン」に入った時などは
その科目を学ぶことが息抜きというか娯楽というか
とにかく苦痛ではなくなったことはありますが、
それにしたって、例えば数式を愛したわけでもなくて
難問が解けていくときの喜びだったり
友だちより高得点をあげることが快感だったりで
あまり褒められた欲望とは言えませんでした。

そのせいか、試験が終わったとたんに
あれだけ繰り返し練習(勉強にあらず)したはずが
きれいさっぱり忘れてしまって
いま、新鮮な気持ちで学びの日々を送っています。
有資格者の風上にも置けないどころか
風下でも苦情殺到ですね